NANTO Vegetable Seed Catalog 2022
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10月に開催されたピノ・ガール栽培講習会のようす。10月に開催されたピノ・ガール栽培講習会のようす。オンライン通信でイオンリテールさんと意見交換。オンライン通信でイオンリテールさんと意見交換。12北つくばのピノ・ガール農家さんご紹介!●名倉敏行さん・陽代さんご夫婦ピノ・ガールの甘さには酸味がない。甘さの質が違う。部会長:以前、消費者宣伝に行った時、いくらタネが小さくても、赤いところに黒いの見えたら嫌な人はいたから、そうすると現場で指でほじってタネ出して、真っ赤にして子供さんにはい!ってあげてるお母さんとか見てるから…。「タネが小さかろうが、大して影響ねえよ」って正直思った。むしろスイカは、赤い中に黒いのがある、それはしょうがないことなんだって。日向:それよりも、マイクロシードってイメージで美味しくないと思っていたんですが、全然そんなことなくてビックリしました!部会長:そうなんだよ!タネよりも、(ピノ・ガールの魅力は)俺は、最初は肉質と甘さ、その甘さもすごい甘かった!もちろん甘さの質は、品種によって多少違うけども。日向:ピノ・ガールの甘さは、酸味が無いんですよね。以前ここ(東部営農経済センター)に在籍していた瀬端課長は、試験スタートから「ピノ・ガールが一番美味しい」って目揃え会とかで、試食しながら言ってました。好みがどストライクだったんでしょうね。部会長:俺が2年目作ってみようと思ったのは、マイクロシードじゃなくて、甘さと肉質が良かったから栽培した感じ。いかんせん着果個数をいっぱい着けるようになったら、あの衝撃の硬さはなかなか出なくなってきたけど。でも周りの生産者からすると、「ピノ・ガールは肉質硬いよな〜」って言ってるけど、俺の知ってるレベルから言ったら「この品種の硬さは、こんなもんじゃねー!」(笑)来年も作るよ!来年も作るよ!こんなに2番果が早くできる品種は面白い!こんなに2番果が早くできる品種は面白い!前に(こだま西瓜で)花粉が出なくて苦労したことがあったので、ピノ・ガールの花粉の出が良いのを聞いて、あとタネが小さいからお客さんが喜ぶんじゃないかなと思って作ってみました。もちろんお客さんは大喜びしてくれました!今年も台木を変えながら、草勢をコントロールして、2番果の着果も良くて、成功です(笑)。突き詰めるほど、奥深い品種で面白いので、来年も栽培を工夫しながらもっと美味しいピノ・ガールに挑戦してみます。2〜3年目は空洞果で大変でした…ピノ・ガールの栽培性について聞かせて下さい。日向:今年でピノ・ガールの試験栽培を開始して4年目ですけど、先ほどの肉質や食味の良さだけじゃなくて、実は2年目、3年目は、空洞果で大変でした。空洞果は絶対に出してはいけないんです。部会長:空洞果の発生を抑えるために、昨年部会で、ピノ・ガールの出荷開始は、4月20日からと決めたんです。これから栽培人数も増えてくるのを見越して。昨年(試験3年目)は、見た感じそんなに悪くないんだけど、反省会で聞いてみたら多くが空洞果。まずはこの空洞果のリスクを少なくするために、栽培しやすい時期を選んだ。せっかくの新しい品種を、「高く売れる!」っていう欲求だけで、出荷を前進してしまったら、品種自体があっという間に衰退しちゃうと思った。ただ他の産地はそんな制限がなく出荷している中で、うちの部会の立ち位置と、ピノ・ガールの名前と、その辺のことを考えたらどうなのかなっていうのはあったし、それは今でもある。でもまずは空洞のない安定したピノ・ガールを世に送り出すことが最優先。日向:どの品種でもそうですからね。部会として取り組んでいる以上、ある程度販売のことも考えていくと、空洞果は絶対NG。また慣行品種と違って面積、人数も少ないので、組織として上手くリレー出荷できることが必須です。1人だけ先に出荷して、後ずっと出荷が無いというより、コンスタントに出荷にできた方が販売先にも喜ばれるので。部会長:やっぱりね。こだまと言ったら、ゴールデンウィークあたりが販売先は1番欲しいんだっていうのも理解しているし。日向:だからそこを考慮して、4月20日出荷スタートっていうのがあります。生産者にはそこを目標に作ってもらって、販売先にはゴールデンウィークを目安にピノ・ガール出てきたよって言うことで、売り場を作ってもらって…。「作り手側と販売側の連携」ですね。それでもピノ・ガールを作りたいという生産者がいる。部会長:現状、早期栽培者って言うところの慣行品種の出荷目揃えは、部会で3月中旬にやるんだけど、ほぼ部会員の半数がそこに参加してる。だから実際、4月20日出荷スタートって制限かけられた時には、作付のタイミングが合わないっていう人が多い。だから今の時点では、急激な面積の増加っていうのはないかなって思っています。仮に、4月10日に出荷開始をずらしたら、おそらく生産者がもっと増えるだろうけど、その時の品物の不安定さって言うリスクを考えるんだったら、また来年も4月20日出荷開始が良いと思う。ただ産地として、栽培時期が限られた中で、それでもピノ・ガールを作りたいと言う生産者がいるってことだよね。日向:4年目の今年は暖冬の影響もあり、日照にも恵まれて、安定した交配ができたので、空洞果の話はありませんでした。全体的にも1番果でのデメリットは全く聞こえてこなかったです。基本的にピノ・ガール自体の、味っていうか質が良いので、今年作付けした23名、美味しい人と全然な人の差がそんなに無かったです。どの圃場で作っても、安定したものを収穫して、皆さん合格ラインの食味を出荷してくれました。

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