NANTO Vegetable Seed Catalog 2018
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今年でブラックジャックを作付けして4作目になりますが、㈱味咲の坂本社長が西瓜のブランド化に取り組みたいとの事で私がBJを初めて栽培することになりました。植木では4月から6月上旬までが西瓜出荷最盛期ですが、その前半作をレギュラーのタネあり(他社品種)。後半作をBJと「羅皇」を栽培しています。BJを初めて栽培した4年前は、黒い外観と甘さ・食べやすさで自信を持って売れる西瓜を作るぞという自信と意気込みがありましたが、シードレス品種の栽培に慣れておらず、幼果が三角に変形しておりこのまま丸くなってくれないのではないかという不安や異株の問題を抱え、シードレス品種の扱いに慣れながらの手探りでの栽培でした。「秀品率95%とレギュラー西瓜より高い秀品性。」しかしながら、BJはシードレス品種にも関わらず空洞果の発生が極めて少なくてボケないため、非常に高い秀品率が期待出来ました。黒い果皮のために玉キズが目立ちやすいことや日焼けしやすいことはありますが、空洞果がほぼ無いので、実際に今年も全体の95%が秀品出荷出来ています。 今日(取材日6月3日)は、140ケース(280玉)のBJを収穫していますが、今年は4月中頃の交配時は熊本の天候は悪く、雌花がいつもよりも小さくて不安もありました。しかし、こうした状況でも着果も良く、肥大も良く、結果的には高い秀品率を維持し、どれも10キロオーバーに丸々と太ってくれました。 私も他社タネあり品種をレギュラー西瓜として栽培していますが、例年で平均70%程度の秀品率です。機械選果を行う共販組織とは異なり、私たちは着果棒を2つほど遅らせて収穫(6日ほど長く在圃させてから収穫)するのを基準としています。その6日間の在圃で果実はさらに甘くなりますが、空洞果になるリスクが跳ね上がります。これをボケないように(空洞が出ないように)管理するのが非常に難しく、今年はレギュラー品種で秀品50%のハウスもありました。これに対し、BJの秀品率95%という成績は驚きの数字と言えます。栽培する農家から言えば、BJは「ボケない」「着果しやすい」、だから「安心して作れるシードレス品種」だと言えます。「ボケない+着果しやすい=安心。秀品率95%。」また、販売上でもBJは外観・甘さ・シードレスという差別化ポイントを多く持っており、販売しやすく、売り込みやすい事が大きなメリットです。結果として、レギュラー西瓜よりも玉あたり500円以上高い価格での販売が出来ており、西瓜農家としても「値段以上の品質の果実を届けよう」という励みになっています。「BJを栽培する上での課題」しかし、BJにはシードレス特有の課題とデメリットがあります。⦆①苗は購入苗:シードレス品種はレギュラー品種と異なり、発芽時や接木活着時により高い温度を要求します。冷床育苗では苗の歩留まりが安定しないことがありますので、味咲では接木苗を共同発注・共同購入することにしています。②異株は3~5%含まれる:シードレスの課題である異株はBJにも毎年3~5%ほど含まれており、苗の時から太りが悪い個体が異株です。異株には外観から見た目が明らかに違う個体もあれば、果実の外観だけでは判別できずにカットして初めて判る黒い種が多く入っている個体もあります。苗屋さんの育苗時点での異株除去が理想ですが、苗の納品後に判別できる限り除去するようにしています。定植後に気付いた場合はすぐに抜きとり、両脇の脇目を伸ばすことで両隣の果実を大きく太らせる事にしています。この異株をいかに克服するかが経営効率の向上や品質維持の点でとても重要です。シードレス品種は種子生産上、難しい点が多いかと思いますが、ナントさんにもこの異株の点については頑張って改善をお願いします。③受粉用の花粉が必要:BJはシードレス品種ですので、自分の雄花にどんなに花粉が出ていても、その花粉では着果してくれません。私は単棟ハウスの2ベッドのうちの1ベッドをBJ、もう1ベッドに「羅皇」(=タネあり品種)を植え、羅皇の花粉をBJの雌花に手で受粉させています。農家によっては別のハウスで前日に採取した雄花を花粉として利用する人も居れば、専用の交配用冷凍花粉(※P145参照「オーレック西瓜交配用冷凍花粉」)を使用する農家も居ます。植木のハウス産地では西瓜は手交配が基本ですが、ハチ交配を基準としている産地・作型では苦労に感じるでしょう。④着果良いので摘果に注意:BJは着果率がとても高くて2個成りが多いため、摘果作業は入念に行います。幼果色が濃緑色なので葉に紛れて見分けにくい事が多く、見落とさないように注意が必要です。初年度は幼果が三角に角ばる事も多くて不安を覚えましたが、肥大と共に次第に丸みを帯びてきますので問題ありません。⑤芽掻き作業の回数が多い:レギュラー品種よりもBJは多くの脇芽取り作業が必要です。着果後にも株元から脇芽が出やすいです。私は消毒のたびに脇芽取りを行っています。⦆西瓜の販売単価はここ数年安定的に推移しており、味咲の西瓜にとってもブランドを確立させるチャンスです。㈱味咲は、高い栽培技術と確かな選果方法によって、高級品から一般品まで価格帯も含めて幅広い商品構成で、それらを契約取引や仲買さんへの直接取引など様々な販売先や販売方法で購入頂いています。そのため、販売単価が安定しており、農家にとっては安心して農業に専念できます。しかし農家だけではなく、販売先の仲買さんも、そのまた先の小売屋さんも、皆がしっかり儲かって永続的に農業が続けられることが本当の目的です。だから、私たち農家も「魂を込めて」「お値段以上のモノをしっかりと作っていこう」というモチベーションになるのです。㈱味咲 すいか部長 加藤幸男植木町の真面目で若き西瓜農家、加藤幸男すいか部長がブラックジャックを語る。植木町の真面目で若き西瓜農家、加藤幸男すいか部長がブラックジャックを語る。㈱味咲のすいか部長・加藤幸男さんはハウス西瓜を1ha、露地みかんを1.7ha、ハウスデコポンを25a作付けする熊本市植木町の農家。23歳で就農してからはや25年経つが、7年前に㈱味咲の創設時に設立メンバーとして参画。当時グループには西瓜農家は加藤さん一人だけであったが、その後は12軒まで増えた西瓜農家を束ねるすいか部長として味咲の西瓜を牽引。今回は、作付けして4年目となるBJについて話を伺いました。㈱味咲のすいか部長・加藤幸男さんはハウス西瓜を1ha、露地みかんを1.7ha、ハウスデコポンを25a作付けする熊本市植木町の農家。23歳で就農してからはや25年経つが、7年前に㈱味咲の創設時に設立メンバーとして参画。当時グループには西瓜農家は加藤さん一人だけであったが、その後は12軒まで増えた西瓜農家を束ねるすいか部長として味咲の西瓜を牽引。今回は、作付けして4年目となるBJについて話を伺いました。(写真)すいか部長・加藤幸男さんご夫妻。「百姓魂」で作る西瓜。お値段以上の品物を届けたい。「百姓魂」で作る西瓜。お値段以上の品物を届けたい。加藤さんの西瓜ハウス。左畝が「羅皇」、右畝が「BJ」。15シードレススイカ

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